1月下旬,高気圧におおわれた晴れ渡る冬空のもと,横浜市本牧(ほんもく)にある日本庭園「三渓園」に足を延ばしました。
生糸の貿易で財をなした原三渓(富太郎)が,心血を注いで築き上げた名庭園の散策を,実写で収めたスナップと共にレポートします。


市内中心部から三渓園へ
この日は前日より桜木町のホテルに泊まり,早朝8時半ごろから徒歩で,JR桜木町駅前のバスロータリーに。
バス停2番に着くと同時に,8時42分発の市営バス(8系統)が到着。タイミングよく乗り込んで,「三渓園前」停留所まで約30分で到着。
「三渓園前」のバス停からはゆっくり歩いて
5分ほどで三渓園の入り口に到着


JR横浜駅・桜木町駅・元町中華街駅・JR根岸駅から
三渓園への利用バス・時刻表は下の公式サイトをどうぞ
三渓園の沿革
「三渓園」と言う庭園の名称は,横浜の大実業家,原富太郎によって1906年(明治39年)に造園されたおり,原の号である「三渓」からとって名付けられました。
敷地は17万5千㎡という広さで,この土地は原三渓の養祖父,原善三郎が1868年(明治元年)に購入した土地です。
原善三郎(1827~1899)は,現在の埼玉県児玉郡の生まれ 35才のとき横浜で生糸問屋を開業 明治初期より横浜港を中心として栄えた,生糸の輸出で財を成し,横浜財界の中心的人物となり,政界にも進出し,衆議院議員,貴族院多額納税者議員となる
1906年,原富太郎は本牧の広大な敷地に「三渓園」を造園し,京都や鎌倉などの古建築物を移築,保護しました。


庭園内の古建築群
庭園内の建築物の配置は,大きく分けて「内苑」と呼ばれる区域と,「外苑」と呼ばれる区域に分かれる。
「内苑」は三渓記念館と並行する,「御門」という豊臣秀吉の聚楽第の一部とされる建築物への門から,原善三郎の戒名からとった「天授院」を囲む形の一連の建造物の地域で,「外苑」は南門に通じる道路かで隔てられた,展望台の松風閣・三重塔近辺からぐるっと廻って,正面入り口・鶴翔閣など大池の周囲辺りの広い区域を指しています。
国の重要文化建造物(右回りで) ; 臨春閣(3棟)・月華殿・天授院・聴秋閣・春草蘆(しゅんそうろ)・旧天瑞寺寿塔覆堂(きゅうてんずいじじゅとうおおいどう)・旧燈明寺三重塔・旧東慶寺仏殿・旧矢箆原(やのはら)家住宅・旧燈明寺本堂
横浜市指定有形文化財(建造物) ; 白雲邸・御門・旧原家住宅
庭園内の散策
さっそく,チケットを購入(一般大人900円 ただし横浜市内在住の65歳以上は700円)。正門から入園して,まず大池の右側の道を鶴翔閣のほうに歩きました。
鶴翔閣(かくしょうかく)
三渓が住居として建てた,延べ床面積950㎡の建物。数多くの文化人・政財界人が訪れた。鶴がつばさを広げた姿に似た設計である。
現在は,結婚式場・各種パーティ会場などとして貸し出されている。






御門(ごもん)
薬医門という典型的な門構えの門から,桃山時代の豊臣秀吉が建てた聚楽第の一部とされる建築物に連なる一帯。
三渓記念館と並行して建てられています。




臨春閣
紀州徳川家初代藩主・頼宜が紀の川沿いに建てた書院造の別荘を移築。




旧天瑞寺寿塔覆堂(きゅうてんずいじじゅとうおおいどう)
1591年豊臣秀吉が,母(大政所)の長寿祈願のため建てさせた寿塔(生前墓)を納める建物。




月華殿(げっかでん)
京都伏見城の大名来城のときの控え所を移築




金毛窟(きんもうくつ)
原三渓考案の,1.8畳の小さな茶室 説明見取り図の下部の横に細長い部屋が茶室




天授院
鎌倉の禅宗の地蔵堂を移築 原家の先祖供養塔を祭る 「天授院」は原善三郎の戒名から名付けられた




聴秋閣(ちょうしゅうかく)
京都・二条城内に建てられた,将軍徳川家光の乳母・春日局ゆかりの楼閣






春草蘆(しゅんそうろ)
左隅の一角は,織田信長の弟・織田有楽の作の茶室






松風閣(展望台)
外苑の高台に建つ展望台 晴れた日には写真のように美しい富士山が見える




旧燈明寺三重塔(きゅうとうみょうじさんじゅうのとう)
1457年室町時代に京都・木津川の燈明寺に建てられた建築物 1914年に移築




旧東慶寺仏殿(きゅうとうけいじぶつでん)
1634年鎌倉・東慶寺(円切り寺で有名)に建てられた禅宗榕の仏殿




旧矢箆原家住宅(きゅうやのはらけじゅうたく)
飛騨白川郷にあった豪農・矢箆原家の合掌造りの農家 20人ほどが暮らしていた 当地がダム建設のため水没するため三渓園に移築された








旧燈明寺本堂を経て,正門へ。はやくも紅白の梅がちらほら咲きかけていました。




むすび
9時20分から散策を始めて、内苑・外苑とまわり、元の正門に着いたのが12時半と、3時間あまりの時間が流れていました。
ざっと観ながら歩くと、1時間程度の距離ですが、やはり由緒ある古建築などの説明書を読みながら回るのが、おすすめです。
今回は一月下旬なので、梅には早過ぎましたが、四季折々の花の鑑賞もできる名園「三溪園」。横浜駅からバスで40分ほどと、交通の便も思ったより良く,以外と身近なところに在ります。
是非、気が向いたときに、お訪ねください♪


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