LIVゴルフとは　PGA・DPとの関係　有力選手は？日本人選手は

2025年6月20日

近年、プロゴルフの世界で話題になっている、サウジアラビアのオイルマネーが投資する「LIVゴルフ」。

PGA（全米プロゴルフ協会）とLIVゴルフとの軋轢と突然の和解の動きから，長引く交渉など、ゴルフの世界を揺るがしている「LIVゴルフ」についてレポートします。

LIVゴルフとは

LIVの意味

LIVとはローマ数字で「５４」と言う意味です。昔の柱時計などで、時刻の文字が「Ⅻ」（１２）とか、「Ⅴ」とかのローマ数字で刻印されていたのを思い出しますが、「L]とは、ローマ数字で「５０」の意味。「Ⅳ」は「４」の意味で、「LIV」と続けて「５４」となります。

「LIV」とは、のちほど述べる、ゴルフ競技の方法が、ショットガン方式で５４ホールを回ることから付けられた名称では！？

LIVゴルフとは

サウジアラビアの政府系投資ファンド（Public Investment Fund）が出資する、新しい形式でのプロゴルフ競技を運営する団体。２０２１年に創設。

代表にグレッグ・ノーマン（豪）が就任。有名選手として、フィル・ミケルソン　ダスティン・ジョンソンなどが当初より参画した。

２０２２年６月に第１回大会が、ロンドン郊外Centurion Clubで開催され、優勝者のC.シュワルツェルが、４７５万ドルと言う巨額の優勝賞金を得たことで話題になった。

LIVゴルフの競技の特徴

競技方法は、俗に言うところの「ショットガン方式」で、４名が１チームとした１２チーム（総勢４８人）が全員、３日間で３ラウンド（５４ホール）を、同時スタートでプレーする。すなわち、１２チームが１番ホールから異なるホールに分かれて同時にスタートし、スタートしたホールの前のホール迄の１８ホールを回る。したがって、競技時間は４～５時間に短縮される。

また、このショットガン方式で、個人戦と団体戦を同時におこなう。団体戦のルールは、初日・２日目は各組の上位２名の合計スコア、最終日は上位３人の合計で、すべてを合計したストロークの最小組が優勝する仕組み。

同スコアの場合のプレーオフもあるが、個人戦・団体戦両方がプレーオフとなった場合などの細かいルールも定められている。

LIVゴルフの破格の賞金

賞金金額は、それまでのPGAツアーと比較しても、破格とも言える高額になっています。

例えば、２０２２年度の招待シリーズでは、１大会２０００万ドル（プラス団体戦５００万ドル）で５大会おこない（英国・米国・アジア・サウジアラビア・米国マイアミ）、、最終戦のチーム戦は３０００万ドルと言う破格の金額となった。

LIVゴルフの高額賞金の影響と言うか、あおりを受けた形で、米PGAツアーの賞金金額も上昇の一歩を辿っています

LIVゴルフツアーに参加した選手は

グレッグ・ノーマンが代表として、PGAの主力メンバーに誘いをかけた結果、つぎのような有力選手が参加しました。

フィル・ミケルソン　ダスティン・ジョンソン　テーラー・ゴーチ　シャール・シュワルツェル（南ア）　
ブライソン・デシャンボー　パトリック・リード　ブルックス・ケプカ

２０２２年当初、米国プロゴルフ協会はLIV参戦メンバーに対し除名処分などの厳しい対応をしたが、その後、全米オープン・マスターズなどへの出場を認めるなど対応が変化している　

マスターズの覇者ジョン・ラームも
昨年１２月からリブゴルフに⛳️

日本からも、谷原秀人はじめ次のような選手が参加している。

香妻陣一朗　稲盛佑貴　木下稜介　谷原秀人

日本のプロゴルフ協会は、「リブゴルフ」参戦者に対して、特にペナルティ処置はしていない。

LIVゴルフと米PGA，DPワールドツアーの関係

「リブゴルフ」が設立された２０２１年から２２年にかけて、PGAは反発を強め、リブゴルフへの参戦者のPGA会員からの除名など、厳しい処置で対応した。しかし、その後はPGA主催のメジャー大会への参戦を認めるなど、柔軟な姿勢に転じています。

そして、水面下で交渉が続いたのか、２０２３年６月６日、突然のようにPGAから「LIVゴルフ」との和解が表明されました。

しかし，その後２年余り経ちました。LIVゴルフとPGAツアーの関係修復については、現在も交渉が続いていますが、予断を許さない状況が続いています。

現在の状況と主な論点：

提携交渉の継続: 2023年6月にPGAツアー、LIVゴルフ、DPワールドツアーの商業権を統合する合意が発表されましたが、この枠組みでの最終的な提携はまだ実現していません。サウジアラビアの政府系ファンド（PIF）とPGAツアーは、引き続き交渉を行っています。
米司法省の関与: この合併案に対して、米司法省が反トラスト法（独占禁止法）違反の可能性を調査していることが、交渉の進展を遅らせる一因となっています。PGAツアー側は、司法省の関与が停滞の理由だと説明しています。
PGAツアーの新体制と交渉: PGAツアーは、新たなCEOとしてNFL幹部だったブライアン・ローラップ氏を迎え、既存のジェイ・モナハン氏（会長職として2026年まで留任）との二頭体制となる予定です。この新体制が交渉にどのような影響を与えるか注目されています。
選手の動向と関係: LIVゴルフに移籍した選手とPGAツアーに残った選手の間には、依然として関係に溝が見られることがあります。しかし、例えばロリー・マキロイ選手のように、LIVゴルフとの和解を支持する姿勢を見せる選手もいます。
世界ランキングポイントの問題: LIVゴルフは、世界ランキングポイントの取得を目指して、大会形式の変更などを検討していると報じられています。これは、LIVゴルフの選手がメジャー大会に出場する上で重要な課題であり、PGAツアーとの関係修復にも影響を与えます。
DPワールドツアーとの関係: PIFがDPワールドツアーの本拠地であるウェントワース・ゴルフクラブの買収に関心を示しているという報道もあり、PGAツアーとの交渉だけでなく、DPワールドツアーとの関係性も複雑に絡み合っています。

DPワールドツアーは、男子プロゴルフの世界最高峰ツアーの一つで、以前は「ヨーロピアンツアー」として知られていました。2022年からアラブ首長国連邦の港湾会社「DPワールド」が命名権を取得し、現在の名称に変更されました。　　

DPワールドツアーの主な特徴は以下の通りです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本人選手の活躍: 近年、日本人選手も多く参戦し、優勝するなど活躍を見せ、日本国内でも注目度が高まっています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世界規模のツアー: ヨーロッパを中心に、アジア、アフリカ、中東、オーストラリアなど、世界中の様々な国と地域で年間を通じて開催されます。　　　　　　　　　　　　　　　　PGAツアーに次ぐ規模: アメリカのPGAツアーに次ぐ規模を誇り、多くのトッププロが参戦します。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「レース・トゥ・ドバイ」: PGAツアーの「フェデックスカップ」に相当する年間ポイントレース「レース・トゥ・ドバイ」が行われ、その上位選手が最終戦の「DPワールドツアー選手権」に出場できます。

日本におけるLIVゴルフとPGAツアーの状況

LIVゴルフの日本開催の可能性: LIVゴルフは、アジアツアーの一環として「インターナショナルシリーズ・ジャパン」を2025年に開催しており、日本市場への関心を高めています。LIVゴルフのCEOは、日本でのさらなる大会開催に意欲を示しています。
PGAツアーの日本大会: PGAツアーは日本で公式大会を開催しており、2025年からは「ベイカレントクラシック」として横浜カントリークラブで開催される予定です。これはPGAツアーが日本市場を重要視していることを示しています。

今後の展望

2025年中に何らかの「解決策」が見出されるという予測もありますが、具体的な形はまだ不透明です。PGAツアーとLIVゴルフの統合、あるいは何らかの協力関係の構築は、男子プロゴルフ界の将来にとって重要な課題であり、引き続き動向が注目されます。

現時点では、完全な関係修復には至っておらず、複雑な交渉が続いているというのが現状です。

プロゴルフの世界にあって、絶対的とも言える権威を示していた「全米プロゴルフ協会（PGA）」が、その存立の基盤を揺るがせかねないとも言える、巨大なオイルマネーをバックにした「LIVゴルフ」の挑戦を受けた今回の問題。

ある時点で、それらの諸案件を解決し、またもや統合に向けた和解案などが電撃的に発表されるのではと思う一方、サウジの政府系投資会社（Public Investment Fund）の本来目的である投資の果実の回収が、急激に上昇した賞金額・運営費などを償却しながら実現できるのかなど、両団体の根本的な和解・統合に向け、予断を許さない状況も予想されます。