いま,世の中でもっとも話題になっている映画,『国宝』をついに観てきました。
原作は、数々の文学賞を受賞した吉田修一氏の同名小説です。私は原作を読んでいたので、映像化にあたってどんな風に描かれるのか、とても期待していました。
観(み)終わった後、その期待をはるかに超える感動と余韻に包まれ、心が震えました。この感動を皆さんにもお伝えしたく、ブログに綴ります。
あらすじ
任侠の家に生まれた主人公・立花喜久雄(吉沢亮)は、自分の生きる世界に疑問を抱き、16歳で家を飛び出します。幼い頃に観た歌舞伎の美しさに心惹かれ、歌舞伎役者の道を志したのです。しかし、権威と伝統を重んじる歌舞伎界で、素人である喜久雄を迎え入れる一座はありませんでした。
そんな中、歌舞伎の名門・花井家の当主である花井半二郎(渡辺謙)が、喜久雄の熱意と天性の才能を見抜きます。半二郎は喜久雄を弟子として迎え入れ、「花井東一郎」という名を与えます。こうして喜久雄は、花井家の御曹司で、自身と同じく歌舞伎役者の道を歩む大垣俊介(横浜流星)と共に、歌舞伎の世界で生きることを決意します。
歌舞伎役者として成長していく喜久雄ですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。彼は生まれつき女形としての才能に恵まれており、周囲からもその才能を認められます。しかし、歌舞伎界の厳しい慣習や、名門の御曹司である俊介との実力差に悩むこともありました。
それでも、喜久雄は一心不乱に芸を磨き続け、俊介とは互いに高め合う親友であり、ライバルとして切磋琢磨します。二人三脚で舞台を作り上げる中で、彼らは友情を深め、歌舞伎という芸術に魅了されていきました。
時が経ち、喜久雄は稀代の女形としてその名を轟かせ、歌舞伎界の頂点を目指す存在となります。しかし、その華やかな成功の裏で、彼は次第に孤独を感じるようになります。芸のため、すべてを捨ててきた喜久雄の人生は、愛する者たちとの別れ、そして彼自身の苦悩に満ちたものでした。
物語は、喜久雄が歌舞伎界の頂点に立ち、やがて人間国宝として認められるまでの半世紀にわたる壮絶な人生を描きます。
映画『国宝』は、一人の男が芸を極めるために人生のすべてを捧げる物語です。その中で、歌舞伎という伝統芸能の美しさと厳しさ、そして人間が持つ才能や情熱、葛藤を深く掘り下げていきます。華やかな舞台の裏側にある、役者たちの苦悩や努力、そして彼らを支える人々の姿を通して、生きること、愛することの意味を問いかける壮大な人間ドラマです。
見どころ
1. 役者陣の圧巻の演技
主演の吉沢亮さんは、若さゆえのひたむきさ、苦悩、色気など、喜久雄の複雑な感情を繊細に演じ切っています。特に、歌舞伎の舞台に立つ姿は、その所作や表情が美しく、まさに本物の歌舞伎役者かと思うほどでした。
そして、喜久雄の親友であり,最大のライバル役を演じる横浜流星さんの存在感には圧倒されました。
また,師匠・花井半二郎役の渡辺謙。厳しさの中にある弟子への愛情、芸への情熱を全身で表現しており、スクリーンから目が離せませんでした。
そのほか,老女形役者に扮する田中泯,半二郎の妻役の寺島しのぶなど,脇役の素晴らしい演技も,じつに見ごたえがありました。
2. 息をのむほど美しい歌舞伎の舞台
この映画の大きな魅力は、なんといっても歌舞伎の舞台がふんだんに描かれていることです。
照明、衣装、そして役者の所作の一つ一つが芸術的で、まるで劇場で鑑賞しているかのような臨場感を味わうことができます。
歌舞伎に詳しくない方でも、その美しさに魅了されるはずです。
3. 人間ドラマの深さ
歌舞伎の世界を描きながらも、この映画の根底にあるのは普遍的な人間ドラマです。
才能と努力、成功と挫折、そして師弟関係や家族のあり方など、喜久雄の人生を通して様々なことを考えさせられました。

出演者・スタッフ
映画「国宝」の主な出演者とそれぞれの役割は以下の通りです。
- 吉沢亮: 立花喜久雄(花井東一郎) 任侠の家に生まれた主人公。歌舞伎の世界に飛び込み、稀代の女形として才能を開花させます。
- 横浜流星: 大垣俊介(花井半弥) 歌舞伎の名門・花井家の御曹司。喜久雄の親友であり、ライバルとして共に芸を磨いていきます。
- 高畑充希: 福田春江 喜久雄の幼馴染。歌舞伎の道に進む喜久雄を、血縁や恋愛感情を超えて支え続けます。
- 渡辺謙: 花井半二郎 歌舞伎の名門・花井家の当主で、俊介の父親。喜久雄の才能を見出し、引き取ります。
- 寺島しのぶ: 大垣幸子 花井半二郎の妻で、俊介の母親。最初は喜久雄の登場に戸惑うものの、次第に家族として受け入れ、彼の才能を育んでいきます。
- 田中泯: 小野川万菊 歌舞伎界の人間国宝であり、当代一の女形。喜久雄と俊介の人生に大きな影響を与えます。
- 森七菜: 彰子 物語の中盤から登場する、喜久雄にとってのキーパーソンとなる女性。
- 永瀬正敏: 立花権五郎 喜久雄の父親で、任侠の立花組の組長。
- 黒川想矢: 少年・喜久雄
- 越山敬達: 少年・俊介
スタッフ
- 監督:李 相日
- 脚本:奥寺佐渡子
- 原作:吉田修一『国宝』
むすび
映画『国宝』は、歌舞伎という伝統芸能の美しさを描きつつ、一人の人間の波乱に満ちた人生を深く描いた感動作です。
観終わった後、深い感動と同時に、自分自身と向き合うきっかけを与えてくれる、そんな素晴らしい作品でした。
まだご覧になっていない方は、ぜひ劇場に足を運んでみてください。きっと、あなた自身の人生を振り返るような、特別な体験になるはずです。

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