ハードボイルド小説の傑作「解錠師」 作者S.ハミルトンとは

アメリカの現代ハードボイルド作家の第一人者,スティーブ・ハミルトンが著した第一級のハードボイルドタッチの犯罪小説「解錠師」について,作者の紹介と,ストーリーの骨子,読みどころをお届けします。

目次

作者 スティーブ・ハミルトンとは

スティーブ・ハミルトン(Steve Hamilton)は、アメリカの著名なハードボイルド小説作家であり、特に若き解錠師を主人公にした作品「解錠師」で知られています。以下に、彼の略歴、主な作品、受賞歴についてまとめます。
略歴
– 生年月日 : 1961年
– 出身地 : アメリカ合衆国ミシガン州
– 学歴 : ミシガン州立大学を卒業 
– 職業 : IBMに勤務中,処女作「氷の闇を越えて」を発表  小説家および短編作家。特に犯罪小説とサスペンスに特化したハードボイルド小説が中心。
主な作品と受賞歴
スティーブ・ハミルトンは、以下のような作品で特に知られています。

デビュー作 「氷の闇を越えて」 ; アメリカ探偵倶作家クラブ・エドガー賞 アメリカ私立探偵作家クラブ最優秀新人賞を受賞 デビュー作に続いて,探偵アレックス・マクナイトを主人公としたシリーズ ; 「ウルフ・ムーンの夜」(2000年) 「狩りの風よ吹け」(2001年)など

「解錠師」 :  作品『The Lock Artist(解錠師)』は2011年にエドガー賞・長編賞(アメリカ探偵作家クラブ(MWA)) 英国推理作家協会(CWA)のイアン・フレミング・スティール・ダガー賞 そして米国・バリー賞を受賞 トリプル受賞の栄誉を得た

作風とスタイル
スティーブ・ハミルトンの作品は、緻密なプロットとキャラクターの深みが特徴です。本作品に出てくる,彼の「解錠師」というキャラクターは、技能だけでなく心理的な葛藤や過去のトラウマを抱えており、読者を引き込む要素となっています。また、彼の作品には、ミシガン州の風景や文化が織り交ぜられており、地域性を強調しています。
このように、スティーブ・ハミルトンは犯罪小説の分野において非常に影響力のある作家であり、その作品は国内外で多くのファンに愛されています。

ストーリーの展開は

冒頭、物語は幼い時の悲劇で,言葉を発することができなくなった,主人公・マイケルの刑務所内での独白からスタートする。

そう。主人公は犯罪人として刑に服している。

と言うことは,主人公は荒波をくぐりながらも生きているという前提である

物語はマイケルの第一人称 ー 「ぼく」が語り部として進んでいく

幕開けは,1999年9月,マイケルが金庫破りの解錠師として仕事を始めた,フィラデルフィア郊外の場面から。

それと並行して,マイケルが9才のとき,それまで住んでいたデトロイトの北西の田舎町・ミルフォードに住むリート伯父に引き取られるところから,解錠師になるまでの経緯をつづる物語が交互に進んでいく。

なぜだろう

8才の時の一家の大きな悲劇のあと
リート伯父に育てられるマイケル

やがて高校を卒業する直前の1999年6月,運命の初恋の相手,アメリアに会い・・・

すべての原点は,1990年6月17日ミシガン州デトロイトの南西部に流れるルージュ川のほとりの一角に在るマイケル一家の住む家での・・・

読みどころとむすび

読んでいてゾクゾクと言うか,ハラハラする場面は,マイケルが難関の金庫の鍵と立ち向かう場面。

実は鍵のピッキングのことは,なにひとつ分かってはいないが(あたりまえ),作者の描く解錠の場面に,物語を読んでいる自分自身も立ち会って,金庫が開くのを固唾(かたず)をのんで見守る気分に陥る,みごとな筆のはこびだ

また,主人公マイケルの,アメリアに対する一途(いちず)な恋心。自分の愛する女性のために,すすんで犯罪を犯さざるをえない主人公を,心理面からもこのうえない筆法で描写しています。

文庫本で560ページ余りと長編の小説ですが,読み始めると一気に最後までやめられない魅力のある一冊です。

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