古代から崇められた太陽
晴れた日であれば、当然のように朝は東からのぼり、夕方は西に沈む太陽。
その昔、飛鳥時代に聖徳太子が隋の皇帝に出した書状に、「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙(つつが)なきや。」としたためられたり、もっと昔の神話時代の最高神、天照大御神(アマテラスオオミカミ)は太陽神であったように、我が国においても太古の時代から、人々は太陽をあがめ、畏怖してきました。
我々の住む地球は言うまでもなく、太陽の周囲を廻る惑星の一つであり、地球上の人類を含めあらゆる生命体も、太陽なしではありえない。このような太陽とはどんな存在なのか、改めて考えてみたい。
太陽とはこんなに凄い存在だ
太陽は言ってみればとてつもなく大きなガス球で、銀河系の恒星の一つである。銀河系の恒星の中では、至って普通の恒星です。
地球からは1億5千万キロメートルの距離にあり、その直径は約139万kmである。なかなかピンと来ない距離だが、地球と月の間の距離は38万2千kmであるから、太陽と地球の間の距離は、地球と月との距離の400倍弱、太陽の直径は地球と月の間の距離の3.6倍である。満月の夜空を見て、はるかに見える月を眺めれば、その巨大さが何となく理解できるような気がします。
宇宙が誕生してから137~138億年といわれますが、太陽の誕生はその約87億年後、いまから50億年前といわれています。巨大なガス球の成分はほとんどが水素とヘリウムであり、太陽の中心部では水素を中心とした、とてつもない核融合によるエネルギーが生み出されており、そのエネルギーが地球はじめ宇宙の全方向に放射されています。
太陽は誕生以来50億年間で、約半分の原素が費消され、その余命は残りの半分、すなわち50億年ほどと言われています。
太陽と地球生命物の関わり
太陽が誕生して約4億年後、我々の地球が誕生しましたが、誕生当時の原始地球の大気は、現在の木星や土星と同じく、さらには太陽と同じく、大部分が水素とヘリウムだったと言われています。
一方、海中から地上に植物とともに動物が進出するには、エネルギーを生み出す源として酸素が必要でした。
と言うか、次に述べるような大気の成分の変動・循環で酸素が大気の約2割を占めるようになり、酸素をエネルギー源とする動物体が発生、発達したと言うべきかも。
無酸素の海中で生れた生命体が長い年月を経て、やがて太陽の光は届くが、有害な紫外線からは守られる程度の海の浅瀬に、藻となって大繁殖した。
この藻の大集団が、大気から海中に滲み入っている二酸化炭素をエネルギー源とし、副産物として大量の酸素をはきだした。
大まかな言い方ですが、原始地球の表面の水素・ヘリウムが、その軽さのために宇宙に散逸したことと、この海面近くの藻の大繁殖による酸素の生成が、現在の地球を取り巻く大気の構成の大きな要因と言われています。
酸素をエネルギー源とする動植物が、やがて地上に進出し、何億年かをかけて、降り注ぐ太陽の光と熱の恩恵にあずかりながら、進化しつつ今に至っています。
太陽光線の副作用に気をつけよう
地球上に繁殖する生命体にとって、なくてはならない太陽ですが、同時にその副作用として、紫外線に代表される波長が0.3μm以下の、地上で生きる生命体にとっては極めて有害な、太陽放射が地球にも降り注いでいます。
これらの極めて短い波長の光線は、地上に届くまでに、酸素分子やオゾンによってほぼ吸収されていますが、一時期大きな問題となったフロンガスによるオゾン層の破壊(オゾンホールの形成)などもあり、その一部は間断なく地上に到達している。
紫外線の強い日には、私たちの皮膚が焼けたりするわけですね。
これは筆者の解釈ですが、考えてみれば太陽のエネルギーの源はとんでもなく強烈な核融合であり、そこから発せられる0.3μm以下の光線が、人体に致命的な傷を与えるのは当然な現象と思います。
我々シニア世代は勿論のこと、若者たちもできる限り強い紫外線はさけるべきです。
結びに
このように、人体にマイナスに作用する紫外線も発する太陽だが、その恩恵はやはり計り知れません。
単純な話として、この地球に太陽の光が届かなくなれば地上はマイナス30℃以下と、ほとんどの生物が生きることのできない、とんでもなく恐ろしい世界となります。
冒頭でも述べましたように、日本の神話においても、また古代エジプトなど文明初期の世界でも、太陽が宇宙の中心であり、全ての事象は太陽が源泉であるという世界観が、信仰を通じて人間社会の枠組みを作って来ました。
われわれ現代に住む人間集団も、信仰と言う枠組みとは離れますが、改めて太陽の恵みを思い起こし、オゾン消失の問題はじめ地球温暖化とその解決に至るまで、大自然への畏怖を思い起こすべき時ではないでしょうか。
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